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戯曲「洪水伝説」を見る。

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7月28日
群馬県高崎市にて支倉隆子作演出の戯曲「洪水伝説」を見る。
第9回・詩劇「洪水伝説(稽古篇)」
 
支倉戯曲は目下大評判、みんな見てますよ、と言うので、
その皆になりたくて(?)、開演2時間前に早々到着。
 
喋ったり歌ったり踊ったりするにぎやかな人たち、とても元気な小さな点々たち。
そこへザンザンと降り注ぐ雨、また雨。
古代ユダヤの洪水が押し寄せる。
 
万事関せず、天ぷらを揚げ続ける主婦、これは私か?
食いさえすれば後はどうでもいい、微動だにしない?
ただしこの主婦以外は揺れ動く。
平和主義から軍国主義、三波春男、美空ひばりからビートルズへ、
善人から悪人へ、遂に遊星住民一斉に不良化して、洪水を待つ……
 
結局はこの揺れ動きで、つまりは変節で、
このあまりにもの「いい加減さ」で、洪水を制してしまうのだ。
変容し、ただ変転し、形をとどめないもの、
無のような透明なものは、捕らえることはできない、
捕らえられないものを制圧することはできない……
無慈悲、残忍なユダヤの神は敗退、雨はやんでしまう。
 
かってアジア全土を襲い、ほぼ制圧したユダヤの神。
フィリピンが、ベトナムが、大国中国が、それぞれの神々を捨て、
次々に国を失い、ついては国土の豊穣を奪われ
西欧諸国の収奪の餌食となる……
その惨状の中、ジャパン国だけが、生き延びたのと同じ方式か?

神もなく、哲学もなく、花魁(オイラン)、お釜(おカマ)、稚児が跋扈して
総出で踊り狂う堕落の巨大都市、大江戸。
諸国大名はいまだ平和300年の眠りの中、
武具の付け方さえ忘れ、出陣命令に従うことさえできなかった……
 
この無節操の故、この堕落の故、かってジャパン国は戦うこともできず、
さりとて、西欧のクビキを喉頸に巻き付ける面倒もせず、
かくてユダヤの神の劫罰も受容できず……
めでたきかな、劣等国日本。
ここに堕落のままに堕落のゆえに、健やかにありつづけている……
 
支倉戯曲から、ジャパン国の歴史まで、
それこれと思いを馳せる今日このごろだが、
ともあれ「虚」をここまで明確に肯定したものは、珍しい。
 
「虚」を肯定することで新しい視野を開いた見事な戯曲だ。
必見。
次回は12月、東京。

Written by イガイガボン

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