イガイガボン

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韓国、中国問題。
TVでの喧々諤々パネルディスカッションに違和感があった。
とはいえ、よくはわからないので
図書館で日経新聞二カ月分をまとめて読んだ。

「今は日経新聞よ、これを読まなきゃ」
という人が最近、周辺には多い。
確かにTV世界とは一線を画している。
日経書評欄から、以下を購入した。

①『戦争という見世物:日清戦争祝捷大会潜入記』 木下直之著/ミネルヴァ書房刊
副題の「日清戦争祝捷(しゅくしょう)大会」とは、1894年、
日清戦争に大勝し、上野公園で信じられないほど盛大に催された
祝賀祭典のこと。

戦国写真画報付録東京市祝捷大会ポスター

写真は「東京市祝捷大会」のポスターだが、
この大会というのが、なんとも華々しい。
敵味方の兵士に扮した人々が大挙、不忍池に飛び込み
海戦の真似事、模擬戦争を展開。
清国、軍艦の巨大ハリボテが撃墜され、大歓声、花火……
それを当時の閣僚ほか、今でいう都知事まで、お歴々が観戦……。
皆で戦争を楽しんでいる。

もう1つは週刊文春書評から。

②『九月、東京の路上で』 加藤直樹/ころから社刊

『九月、東京の路上で』

関東大震災の最中、東京での韓国人虐殺事件。
当時の目撃者の記録を数多く紹介している。
例えば芥川竜之介が、かの悪名高い自警団の
一員となっての記録とか、初耳の話が多い。
菊池寛の切って捨てるような明快な見解とか、
鮮やかだ。

①、②の双方で驚いたのは、私たち日本人の勇ましさというか、
戦争好きというか、残酷志向……これがすざまじい。
イガイガボンでは、『豚志向』というミニ画集を出しているが、
果たしてその裏は残酷志向だったのか……。
強国日本、それも狂的強国日本を浮上させている。


夏目漱石に『満韓ところどころ』という紀行文がある。
漱石が満州に出かけての紀行文で新聞に連載されたもの。
古き中国の不可思議な魅惑をチラリと垣間見ることができて
胸踊らせたが、漱石自身の感想は、「汚い」だの「貧乏」だの、
イマドキのイジメ中学生と同じレベル、それだけ。

せっかく中国の遊郭、昔の日本でいう赤線地帯を訪ねているのだ。
この遊郭に二、三泊して、中国庶民の神秘の奥の院を
記録してもらいたかった。

――ボロボロの恰好の食うや食わずの男たちが、日がな一日、
必死で、ウグイスの美声に聞き入って動かない……
幼い美しい遊女と、遊郭に響きわたる銅鑼……

働け働けの中国共産主義が席巻する前の中国風景がちらり、
これをもっと知りたかった。


漱石といえば、イガイガボン新刊『ひとを千人』で、
そのものスゴい威張り写真に注目している。
皇帝とか王様とかでも、ここまで威張った写真は珍しい。
匹敵するのは、ルイ16世王妃、マリー・アントワネットくらいか?
当時、読売新聞文芸欄の主筆として漱石を訪ねた正宗白鳥も
漱石のあまりにもの威張りようにびっくり仰天の記事を書いている。
漱石のこと、丁寧にみれば、様々魅惑もあったろうに
「威張り」に隠れて何もかも消えていたのだろうか。


威張るのは、おおむね油断からである。
先々のことを考えると、そうそう暢気にいばってはいられない。
先々のことに手を打ってないから、とんでもない不幸にも見舞われる。
マリー・アントワネットは若くして首をちょんぎられたし、
漱石も、日夜、胃痛に悩み、五〇代の若さで死亡。
痛い痛いと苦しむ漱石の記述を読むと、こっちまで
あっちこっち痛くなってしまった。


最近のTVなどで見る韓国蔑視も、一つには
漱石風の威張り癖から来ているのではないか?
つまりは、先々を考えない無思慮からきているのではないか?

この無思慮が、中国侵攻の暴挙を導き、同時に
世界世論の日本人嫌悪を巻き起こし、一直線の敗戦、
大量戦死者の悲劇と前代未聞の経済的損失へと突き進んでしまった。
先々大損をしたくない人は、①木下直之と②加藤直樹を買って読むベし。


再び日経新聞。
日経紙は、セブン銀行の安斎隆氏の読書遍歴として8冊を紹介している。
セブンアイとなってますます絶好調のセブングループの親分かな?
ともかくその8冊の中から2冊。以下を購入したい。

・『上海時代』 松本重治/中央公論社
・『日本の禍機』 朝河貫一/講談社学術文庫

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