イガイガボン

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醜悪な精神

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健全な精神というのはよく聞く言葉だが、
醜悪な精神というのはきいたことがない。
空飛ぶキリン社刊『ガーネット』78号の、神尾和寿詩篇の2編は、
そのあまりなじみのない精神を書いて出色。

夜のお店で考えてみる


 
はち切れそうな肉体に
醜悪な精神が宿っている
そのようなくみあわせのいきものたちに
囲まれて、
さっきから息をだしいれしている私とは
誰なのか
オッパイが弾丸のように躍動しながら
容赦なく迫ってくる
その間に挟まれた頭を
ひねりながら
もう一度よーく考えてみる

 

状況は簡単ではないらしい。
官能的なようで見えて、イヤ、まて、
頭をひねって考えなきゃいけない、となると
早々いい気分にはなれないものの、けれど
「醜悪な精神」というのはいい。
そして「はちきれそうな肉体」!
もうこれは何よりだ。

グラマラスな女性軍団で、悪知恵満載というなら、
それはもう特上美人に決まってる。
そういう美女軍団に頭を挟まれる……
なんてどういう事情であれ、滅多にない果報者ではないか。

まずは醜悪な精神がポイント
グラマラスでも善良な精神となるとこうはいかない。
その手の女もおおむねは腑抜けで阿呆。
ドロンとしてだらけたのが多い。

普通、詩に登場するのは、こっち、善男善女。
皆して腑抜けでドロンとだらけている。
こういう人間ばかり見てるとこっちまでドロロン、ドロロンしてきて健康上にも良くない。
神尾詩編は詩が生気をキャッチ、
ぱっちり目覚めた瞬間を活写している。
これが見事だ。健康にもいい。
そしてもう1編。

フライパン


 
みんなに隠してきたぼくの
裸をきみにだけは見てほしい
ぱっと
脱いだ
ポーズを決めたあとで
(後略)

 

これもビックリ、ハテ何事か?と目が点になる。
フランス映画ではなかったか?
……整備された広々の公園、
口髭紳士がやおらコートを脱ぐと、中は素っ裸、
それを小さな子供達が黙って眺めている……こういうシーンがあったような気がする。
漫画だったかな?

どこにでもあることなのか、
千葉県は市川市、かっての我が家の近所でも類似のことがあり、話題をさらった。
頭は七三に分けて黒縁メガネ、それはそれは真面目な息子さんなのだが、
ある昼下がり近所界隈を次々訪問、
玄関先で、パラリと全裸となられて、「見て、見て」と秘めたる部分を、提示されたのだ。

奥様方はびっくり仰天、
キャアキャアまさにキャアッキャア、
辺り一帯は大騒ぎ、常日頃は眠ったような界隈がやたら活気づいた事があった。

三島由紀夫みたいに日頃ボデイビルで鍛えあげた身体ならいいが、
この詩編の主人公はその肉体を長年秘めてきたそうだから、
おそらくは脂身タップリの真っ白けでブヨブヨのはず、見よいものではあるまい。
 

プヨプヨおじさん
(その想像図として上にかかげたのは、私がハンドバッグに隠し持つカード入れの表紙。
 渋谷の雑貨店宇宙百貨で¥350で買ったものだが、このくらいの脂身か?)

美的とはなかなか言いにくいが
長年秘めて来たのだから、何らかの価値があるのだ。
彼一番の宝物だったり?
僕の宝は彼女の宝と、一人思い込んで、おそらは長年の憧れの君、
素敵な彼女に開陳なんて!なんとも健げでイジラシイではないか!

双方とも毎日毎日、それで一貫しているわけではない。
女性軍団だって毎日醜悪ではくたびれる。
全裸志望も同じ、
今日のような暖かな日ならともかく、
酷寒の日なんぞは、思いも寄らぬこと。

だが、ある一瞬の思い、刹那の衝動だからといって、
そうでないものより、価値なしとしてはいけない。
毎日毎日の長々ダラダラ思いより無価値とは、限らない。
それは我が身を活性化させるだけではない、
思いがけないものだってもたらしてくれる。

おなじみ世界の大富豪、ロスチャイルド氏は言う。
「肝腎なのは空中を舞っているもの、
 見えるか見えないかの小さな粒子だ、それを掴まえること。そこに全てがある」
氏のいうことだから話は金儲け。
金儲けの粒子のことか?

そういうものは、そこらに暢気に転がってるものではない、
よくよく注意して、刹那をキャッチしなければならない。
刹那の思いの方が、瞬時の衝動のほうが、より大事というのだ。
作者は古来より商人のまち神戸の詩人、神尾和寿氏。
皆で神尾氏を見習って大富豪を目指そう!(ちょっと変かな?)
 

リチャード・ドーキンス


 
とタラタラ続けてきて、ここに来てハタと思い出したのが、
遺伝学者リチャード・ドーキンス先生。

ご存じ二重螺旋の発見者、
今世紀最大の発見を成し遂げたとされる御方だが、
この人にあっては上記のようなタラタラは許されない。
このバカタレと怒鳴られだろう。

刹那だって?一瞬だって?
馬鹿抜かすな、ごまかすな、ってことになるだろう。
事は毎日毎日なのである。
毎日毎日、人たるもの醜悪で一貫しているとおっしゃるのだ。

Written by イガイガボン

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