イガイガボン

出版の(株)iga

Archive for the ‘対談’ tag

イガイガ本ニュ-ス【新刊2冊のお知らせ】

without comments

2017.4.1

■魚野真美・第一詩集『天牛蟲』(かみきりむし)

大阪の詩誌『Lyric Jungle』(編集:平居謙)で活躍中の若手詩人、魚野真美。
商都大坂を踏みしだいてダイナミックに開花している。
添付の挿し絵は詩篇「じん、じん、騒ぐ」から。
花が窓辺を飛び出し、ジンジン突き進んで行く……

首を吊った花
窓辺でかわいて
落ちる
・・・・中略・・・・
外へ
飛び出してゆき
飛び出してゆき
ゆきゆきて

じん、じん、
騒ぐ
     「じん、じん、騒ぐ」から

 
 
枯れた花までも元気、いいことではないか。

「大大阪純情飴雨アラレ」
「酩酊ユニバース」
「三角地帯に勇み立つ日まで」
等々
商都大阪の息吹が迫って圧巻。

 
 
 


 
 
■阿賀猥・エッセイ集『あまりにも、あまりにも』5月刊行予定

フーバー回顧録から

F・ルーズヴェルト

法然の高弟 源智

勢観房源智上人 知恩寺蔵




阿賀猥のエッセイ「詩学」連載のものから1編。
対談本『ドラゴン in the Sea』刊行後に開示された新資料で
日米開戦の裏事情を紹介する2編など。

たとえばフランクリン・ルーズヴェルト。
民主主義の旗手のようなもて方だが、実は彼は、
よほど以前から日米開戦を策謀してきた「殺人狂」とする
アメリカ31代大統領フーバー回顧録を紹介。
『ドラゴン in the Sea』上巻、真珠湾攻撃の裏事情を補強する。

ルーズベルトは稀なる美形。
人権論者の夫人のほかに数名の愛人がいた。
これは鎌倉仏教、法然にいう「内心と外相の不調」の典型的な例。
内心と外見は真逆のときが多い。
美男美女は危険ということか?

さほどの美男ではなかったが、
普遍的な正義を言い募ったヒトラーといい、
きれいごと、きれいなイデオロギーが席巻したのが20世紀。
世界中が正義やら良心やらに目覚めて走り出してしまった。
共産主義にしろナチスの思想にしろ良心にもとずいて、よき社会を目指したもの。
だがあまりにもの虐殺。
ソ連の虐殺被害者はナチス犠牲者の10倍以上にものぼる。
これをどう解釈すればいいのか?

このあたりもかの法然が有効だ。
一枚起請文「観念にあらず学問にあらず」と
正義、ないし善、良心など観念の一切を一刀両断に糾弾する法然思想。

戦後日本詩の情念の基幹でもある良心だが、
法然流にメスを入れざるをえないのではないか?
法然教理、普通に見れば、奇怪、不可思議にも見えるが、
今世紀おそらくは22世紀、23世紀へも直進、有効に稼動出来うる哲理かとも思われる。

あまりにもあまりにもの過激な教理に、口を閉じよと師を制する弟子たち、
「皆様、法然様のいうことは聞いてはいけません」と言い立てる者もいる。
「いや私は首を斬られてもいい、これだけは言っておきたい」と法然……
騒然とする中にただ一人進み出てしっかりと記録していく勢観房源智。

本稿では、若き法然高弟、源智にスポットをあて、源智の側から法然を探って行く。

法然旅(2)

without comments

自分の書いたものは、まず見ない。
当初は特にそう。
ページをめくりもしない。
めくりたくない、というより、めくることができないのだ。
 
対談者の中本道代さんもそうらしいが、
私の場合は、そこに魔のようなものを
閉じこめて来たような気がするのだ。
私の魔、ボウイの魔、エミリ・ブロンテの魔、そうして法然の魔……
犯罪者と同じ、やっと始末した。
早くずらかろう……後をも見ずに一目さんと今回も逃げるはずであった。
 
ところが今回はなぜかそれができない。
いちいち捕捉まで作り、その捕捉が又気に食わず、
いちいち捕捉に付箋をつけて、
梅原猛氏まで、問い合わせた。
果たしてこれでいいか、どうか等々。

程なく梅原氏から返事、と思って開けたら、
新刊「「葬られた王朝」。
次のページをめくったら梅原氏がセーター姿で例のニコニコ顔。
これでいい、これで進めということだな、と解釈して捕捉は終了することにした。
 
ちなみに、「葬られた王朝」は古代日本が舞台。
これまで、聖徳太子、柿本人麻呂について、通説を覆す論理を展開してきた梅原氏。
これに対して「誹謗、中傷、冷笑、黙殺が続いた」が、今ではこっちの方が通説になってきていると書かれている。
今回は、3度目の挑戦、古代歴史に挑んだもの。
アマテラスやスサノオの世界が、新たに古代からよみがえり、出雲を舞台にダイナミックに動き出している。
 
法然の場合も通説とおりとはいかない。
時は鎌倉時代。まず仏僧が今とは違う。
僧は僧でも僧兵が跋扈、高名な祖師たちも殆どが武家出身。
教理自体は穏便平和ながら、白刃、ぎらつかせて、カーッ、キーッと、切り結んでいるのが実状。
『ドラゴン6章』では、それぞれの教理も相互に激しく切り結ぶものとして解釈、今までとはやや異質の法然像になっている。

そもそものきっかけは、
明け方の4時の幻覚。
訪ねて来られたのはどなただったのか。
この方の意向で、法然部分を新たに追加したように思う。
だが、2月から3月、京都、岡山など法然ゆかりの寺を回ってみたが、どこにも似た方は見つけることができなかった。
結局、氷解したのは帰宅後。
法然の高弟、源智、うっかり見落としていたこの方の画像を梅原氏著作の中に発見。
見覚えがあった。
この方ならよく知っている、なぜかふと納得した。
 
800年の歳月を乗り越え、
はるか荒唐の地、千葉県までこられるとは!
いかにも奇怪な話ながら、源智という方は、そういう方ではなかろうか?
がっちりと、完璧に師、法然を守り、記録にとどめたい……この一念で、今も現世を歩いておられるような、気がする。
 
そろそろ4月、
今はもう明け方4時にたたき起こされることもなく、まぶしい朝日の中で目を覚ましてる。
源智様は、これら捕捉の追加で納得されたと思いたい。
捕捉を入れ込んだ下巻も今後に試みるべきかと思われる。
 
トットッと、ずらかるつもりが、
とんだ長居、どうかと思いつつ……
「法然旅」は、ひとまず、ここで終了としたい。
(阿賀)
Friday, March 29, 2013
 
 
 
 
ドラゴン in the Sea 上・詳細ページ


ドラゴン in the Sea 下・詳細ページ

ドラゴン in the Sea 下

with 7 comments

ドラゴン in the Sea 下分類:対談本
著者:阿賀猥 戸沢英土

出版:(株)iga
販売:(株)星雲社
発行:2012年10月
判型:B5 200P
ISBN978-4-434-17081-2
C0020 ¥1400E
 
定価1,400円+税


かの梅原猛を「ニーチェを思わせる」
感服させた対談本の下巻が遂に完成。

東西2500年にわたる学術書、奇書、教典に底流する
「詩」を拾い出し、現代を追跡する。

竜樹の『中論』アダム・スミス『国富論』が依拠した
マウンドビルの『蜂の巣ブンブン…』法然の日本哲学。

ロレンス『黙示録論』……それぞれの時代を牽引する
数々の『詩』の隙間を蛇行して進む奇書の群れ。

『サテューリコン』『一万一千本の鞭』『大菩薩峠』……
これらが歴史の暗部を穿ち、世界の謎を解いていく。

性愛の詩人が背後に抱え持つ世界を探り、
奇書、名著の原典を豊富に引用、
文明の暗部と脆弱をえぐり出す。
 
 

もくじ

 
4章 越境 10


  1. 集合無意識と風立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    梅田智江『変容記』と中本道代『ミルキー・メイ』の太陽の筒
    →ユング『元型論」
    →フリーダ・ロレンス『私ではなくて風が…』
  2. 異次元世界立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    ユング『続・元型論』
    →太古の浮遊生物か?竜之介、お銀さま
    →宮澤賢治「大菩薩峠の歌」
  3. 近接する異次元立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    「私」はゴカイ?蟻?カエル?
    →古代人の自己認識
    →ケレーニイ『神話学入門』が説く曼荼羅
  4. 童児神立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    ユング『続・元型論』
    →フィンランドの叙事詩『カレワラ』
    →「惑星ソラリス」
    →プラトン「想起説」
  5. 女王さま立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    ユングとナチス
    →集団自我
    →天使的人物か?ナチス収容所所長ルドルフ・ヘス
  6. ロレンスVS天使立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    D・H・ロレンスの『黙示録論』
    →エドモン・ジャペス『問いの書』
    →ロレンスのユダヤ嫌いとケツァルコアトル
  7. 新型の愛立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    レンブラント「イサクの犠牲」とアリス・ミラー、幼児虐待
  8. 棘皮動物立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    棘皮動物∨Sフーコー『自己のテクノロジー』
    →フロイトが言う依存関係
    →ロレンス『翼ある蛇』の闘牛場面
    →ユダヤの燔祭とホロコースト
    →小羊はどこに行くのか?
  9. ヒゲとヒトラー立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    ヒトラーのヒゲ、プルーストのヒゲ
    →ヒトラーの清楚で美しい母クララ
    →ヒトラー「みんなにお婿さんを見つけてあげますよ」

 
 
5章 右足左足 50


  1. 更ニ更ニ卑シキトキハ……立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    タブツキ『ベアト・アンジェリコの翼あるもの』
    →ロレンス『カンガルー』、下半身の自己
    →フロイト「個人は自己の遺伝質の附属物であるにすぎず……」
  2. 『ふたりの真面目な女性』立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    ジェインの神とヘンリー・ミラーの神
    →ポール・ボウルズ「シェルタリング・スカイ」
  3. メフィストフェレスの敵立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    ファウストの善悪・マルガレーテ昇天VS破壊と火の新約聖書、黙示録
  4. 右足左足立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    二人の女性の待ちの姿勢
    →サテュリコンの二人旅
    →アポリネール『一万一千本の鞭』が開く現代絵画の起点
  5. 根こそぎの二人立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    ミスター・チルドレン
    →エミリ・ブロンテ21歳、根こそぎ散文とアポリネールのハチャメチャ詩篇
  6. 『嵐が丘』のカマキリ愛立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    エミリの愛の方式
    →根こそぎ風カマキリ愛
    →十亀脩之介・朗読舞踏「変形型恋愛天虫色模様」
  7. ゴンダル詩篇立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    共同体と旅人
    →キャプテン・クックとタブー
    →エミリと兄ブランウェル
  8. 豺狼と神々立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    豺狼としての神
    →エミリとハンス・ヘニー・ヤーンの恐ろしい神
    →エミリのニセ苦悶
  9. 酸っぱいブドウ立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    『アマデウス・シンドローム』
    →エミリ・ブロンテの報われない愛
  10. そして右足左足立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    龍の声に従うペトロニウスの足、アポリネールの足、ジェインの足……

 
 
6章 ドラゴン悪 88


  1. 気味の悪い「愛」立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    へニー・ヤーンの愛の一瞬
    →映画「戦場のメリー・クリスマス」の愛
  2. 女性性悪説と仏教の盲点立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    インド民話『パンチャタントラ』
    →『マヌの法典』
    →リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』
    →法然『選択集』
    →町田宗鳳の法然解釈
  3. ドラゴン悪立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    田中於菟弥『インド・色好みの構造』
    →古代インド―女性たちの命がけの悪
    →機械文明とポール・デルヴォー
  4. 善人天国立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
    →漫画『パタリロ』
    →セシュエー『分裂病の少女の手記』
    →デヴィッド・ボウイの機械人間「ダイヤモンド・ドッグス」
    →原子爆弾リトル・ボーイ
  5. トカゲの欠落、春樹の欠落立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    T・S・エリオット「うつろなる人々」
    →欠落?削除?
    →木村ユウ、僕はもうテレビは見ない
    →春樹、洗練されたずるさ
  6. 男旅人立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    エミリ・ブロンテの兄、ブランウェルの詩
    →共同体から締め出されたフーテンの寅
  7. 女旅人立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    山本周五郎『虚空遍歴』
    →アナイス・ニンの大ヒット、ポルノ小説
    →鹿島茂『オール・アバウト・セックス』
    →AⅤ男優が語るA∨女優(『アダルトビデオジェネレーション』)
  8. WC TO WC そしてボウイ立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    世界をめぐり繋ぐWC、中本道代「現象Ⅱ、阿賀猥「河の起源」
    →旅人ボウイ「STATION TO STATION」の広域世界
    →鴨長明
  9. 法然、親鸞 VS 明恵、清浄心立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    明恵『摧邪輪』VS法然『選択集』
    →親鸞『教行信証』
    →『餓鬼草紙』
  10. 『地獄草紙』と経済問題立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    明恵「あかあかや…」
    →法然「一枚起請文」、「和語燈録」

 
 
7章 輝きのイチゴ大福 142


  1. ニンフに化けたドラゴン立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    デルヴォー「水浴するニンフ」
    →平和の裏側、平和の塔
  2. マリリン・マンソンと「いじめ」立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    不気味なメークのマンソンとその素顔
    →法然とマンソン
  3. アメリカの小説立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    ぐっと低級に、ヘンリー・ミラー
    →ハンター・S・トンプソン
  4. 親鸞の海、エミリの海立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    親鸞「和讃」、ドラゴンが守る警備万全の海
    →浄化するエミリの便利な海
  5. 永久に生きたい二人立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    親鸞・還相回向
    →エミリ詩篇、「不滅の生命たるわたしは……」
  6. 龍樹、幻覚の不滅立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    ノヴァーリス『花粉』
    →龍樹の長編詩『中論』
    →創聖のアクエリオン
  7. 龍樹と宇宙物理学立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    ガモフ『不思議宇宙のトムキンス』
    →山内得立の名著『ロゴスとレンマ』
    →レンマと鰻
    →龍の論理、「幻覚原論」
    →エミリの岩と「君が代」の岩
    →竹内薫の「モノ」と「コト」
  8. 自足するイチゴ大福立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    左川ちか「死の髯」
    →異次元と日常
    →映画「羊たちの沈黙」
    →映画「ラスト・エンペラー」
    →映画「天使の涙」
    →オタクと孤絶
    →孤絶の幸福
  9. 『大日本帝国の子どもたち』立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    教科書の中の子供たち∨Sアンリ・ルソーの子どもたち
  10. 『嵐が丘』といじめ問題立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    作者は兄ブランウェル?
    →エミリが隠した愛の詩篇
  11. ドラゴン方式立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    いじめ解決策としてのドラゴン方式
    →別の感性としての幸徳秋水、小林多喜二
    →マリリン・マンソンと奥村真
    →民主主義といじめ

 
 
 おわりに


  1. 梅田智江「妖花記」立ち読みできます!ぜひ御覧ください!

 
 

著者紹介

 
阿賀猥


 
宮崎県出身。
 
 詩集
  『猥について』
  『アガシ1988』(以上 紫陽社)

  『ラッキー・ミーハー』
  『揺るがぬヘソ曲がりの心』
  『山桜』
  『ナルココ姫』(以上 思潮社)

  『真実のお多福豆』(文芸社)

  『転生炸裂馬鹿地獄、割れて砕けて裂けて散るかも』(七月堂)

 評論集
  『不まじめな神々』(詩学社)

 朗読CD
  『猫又猫七そして猫姫』(七月堂)

朗読者としては、第一回・詩のボクシングにゲストで登場、ねじめ正一と対戦し、観客を湧かせた。
主にロック演奏家と共演してきたが、2004年、舞踏家十亀脩之助との朗読舞踏で「津軽じょんがら節」をBGMに採用、以後、津軽三味線との共演を試みている。
 
 
中本道代


 
ミステリアスな詩集で知られるが、格調の高いエッセイでも定評があり、東京新聞など、多方面に散文を寄稿している。
作品は、一見穏当だが、仏典や哲学への造詣に裏付けされた重厚さを合わせもつ。
 
 著作
  『春分 vernal equinox』
  『黄道と蛹』
  『花と死王』(丸山豊記念現代詩賞受賞)など。(以上 思潮社)
 
 
戸沢英土


 
漫画家。本稿では挿絵も担当する。
早大中退。
さまざまな努力を水の泡にする習癖がある。
漫画作成のほか、絵画、詩篇、エッセイも作成する。
ロックが背後に持つ思想について造詣が深い。

 著作
  詩集『壁を破る』(私家版)
 
 

 

 
 
 
 

ドラゴン in the Sea 上

with 13 comments

ドラゴン in the Sea 上  阿賀猥×中本道代×戸沢英土分類:対談本
著者:阿賀猥 中本道代 戸沢英土
 
出版:(株)iga
販売:(株)星雲社
発行:2011年8月17日
判型:B5 149P
ISBN978-4-434-15939-8
C0020 ¥2000E
 
定価2,000円+税


・・・・・ 電子書籍版リンク(外部サイト:BCCKS) ・・・・・

ドラゴン in the Sea 上』 阿賀猥×中本道代×戸沢英土著


 
 
女性と蛇を巡る対談集の上巻。
 
海を支配するドラゴン、古代豊玉姫から
現代市場経済の底に横たわる竜の論理まで議論は白熱、
世界の裏に潜むもう一つの歴史を浮上させる。
 

「過激だが、物凄い面白さ、あなたは、ニーチェを思わせる」

 
と梅原猛をうならせた傑作対談本。
 
各対談者は、教科書や参考書には登場しない資料を紹介、
また高名な著作ながら無視されてきた部分に注目、
手に汗握る過激な論戦も加わって飽きさせない。
 
ドラゴン in the Sea イメージ動画「海カエル」
 
 

もくじ

 
はじめに立ち読みできます!ぜひ御覧ください!


 
 
 
1章 女とドラゴン


  1. いるのは女だけ?立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    世界を制するか? ソレルス『女たち』
    →海を歩くポール・デルヴォー絵画と女性詩篇
  2. 愛の海、死の海立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    マルグリッド・デュラス『愛人』の海
    →左川ちか&ヴェイユ、独身者の海
  3. 三島由紀夫とマンスフィールド立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    『豊饒の海』とマンスフィールドの極小世界
    →弘前高校生の変心
    →虚無の海、恐怖の海
  4. 海も亦なきなり立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    聖書の海
    →蛇とグノーシス
    →『最後の晩餐』のマリアとパウロ
    →キリストは自由の闘士?
  5. ダ・ヴィンチ・コード立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    蛇と金運
    →校章と蛇
    →ユングの龍退治の絵
    →財宝としての無意識
  6. 劣等機能の女性的性質立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    理性への疑惑、パスとヤーン
    →劣等絵画と劣等文学
    →バロウズとトンプソン
    →劣等機能は優等か?
  7. 中国の蛇、日本のドラゴン姫立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    理性抑制の残雪『黄泥街』
    →阿含経のムチャリンダ竜王
    →女ドラゴン、豊玉姫
  8. 確固たる異界立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    「私」の中の爬虫類
    →幻覚との対話
    →左川ちか詩篇、立ち上がる幻覚

 
 
2章 黒い天使


  1. 海の天使立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    左川ちかと伊藤整
    →宮沢賢治の「悪念」
    →賢治と井上陽水
    →バタイユ『文学と悪』
  2. 黒い天使、白い天使立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    隣組子供会と南京事件
    →ヤーンの天使とリルケの天使
    →武者小路実篤、「詩千八百」
  3. バタイユと『嵐が丘』立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    バタイユの誤読
    →エミリの近親相姦愛と実子殺し
    →中本道代詩篇と工藤静香「嵐の素顔」
  4. 美形の園のソクラテス立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    ソクラテスとヒトラー
    →映画「ロード・オブ・ザ・リング」と日本兵
    →フーコーとギベール
  5. ユダヤの豚の絵立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    マルチン・ルターとユダヤ人
    →ドイツ映画「バクダッド・カフェ」の掃除好き
  6. お尻の思考システム立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    柿本昭人『アウシュヴィッツの回教徒』
    →オルテガ、お尻の思考世界 VS ヒトラーの清潔帝国
  7. 悪と女性詩篇立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    バタイユ、悪徳は深い真実
    →悪徳の女性詩篇
    →谷崎と嵯峨信之を結ぶ「悪」
    →偽善比べと文学
  8. 憎悪の本能立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    善人顔のヒムラーとエノラ・ゲイ飛行士
    →アリス・ミラー『魂の殺人』
    →少女たちの憎悪

 
 
3章 大菩薩峠


  1. 死の本能立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    フロイト「快感原則」と大菩薩峠
    →トーランドが暴く真珠湾攻撃
    →戦争とケインズ理論
  2. 卑しきときは自ら実なり立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    山片蟠桃と市場原理
    →大菩薩峠と町人哲学
    →伊藤仁斎の目線
    →三井高房の賄賂のすすめ
  3. 悪心の哲学、国富論立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    誤訳された『国富論』
    →道徳社会の起源としての私利私欲
    →スミスの奇怪な道徳哲学
  4. 「思想」と植民地支配立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    砲弾とキリスト教
    →植民地支配 VS 日本哲学
    →悪徳詩篇マウンドビルの「蜂の巣ブンブン…」
  5. ねこぢる立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    『ねこぢる』と大菩薩峠
    →攻撃本能とフロイト快感原則
    →横尾忠則絵画『生き方上手』
  6. 内奥の海立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    利潤動機の裏の裏
    →バタイユの普遍経済学『呪われた部分』
    →内奥の海を生きる机竜之助
  7. キリストとヒトラー立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    キリストの愛、ヒトラーの愛
    →髯好きキリスト嫌いのD・H・ロレンス
  8. 苦悩の枯渇立ち読みできます!ぜひ御覧ください!
    エリオットの苦悩?
    →D・H・ロレンスの神とユングの塔
    →ヒトラーの新しい愛の政治

 
 

著者紹介

 
阿賀猥


 
宮崎県出身。
 
 詩集
  『猥について』
  『アガシ1988』(以上 紫陽社)

  『ラッキー・ミーハー』
  『揺るがぬヘソ曲がりの心』
  『山桜』
  『ナルココ姫』(以上 思潮社)

  『真実のお多福豆』(文芸社)

  『転生炸裂馬鹿地獄、割れて砕けて裂けて散るかも』(七月堂)

 評論集
  『不まじめな神々』(詩学社)

 朗読CD
  『猫又猫七そして猫姫』(七月堂)

朗読者としては、第一回・詩のボクシングにゲストで登場、ねじめ正一と対戦し、観客を湧かせた。
主にロック演奏家と共演してきたが、2004年、舞踏家十亀脩之助との朗読舞踏で「津軽じょんがら節」をBGMに採用、以後、津軽三味線との共演を試みている。
 
 
中本道代


 
ミステリアスな詩集で知られるが、格調の高いエッセイでも定評があり、東京新聞など、多方面に散文を寄稿している。
作品は、一見穏当だが、仏典や哲学への造詣に裏付けされた重厚さを合わせもつ。
 
 著作
  『春分 vernal equinox』
  『黄道と蛹』
  『花と死王』(丸山豊記念現代詩賞受賞)など。(以上 思潮社)
 
 
戸沢英土


 
漫画家。本稿では挿絵も担当する。
早大中退。
さまざまな努力を水の泡にする習癖がある。
漫画作成のほか、絵画、詩篇、エッセイも作成する。
ロックが背後に持つ思想について造詣が深い。

 著作
  詩集『壁を破る』(私家版)
 
 

ご感想

 
斉藤健一さまより


 

「私は人間ではないのである。私はダイナマイトだ」

ニーチェは断言。
あなたの心の底にしっかりと存在する否定と肯定の渦巻き。
いづれもおもしろいです。
近年における痛快な一冊でした。
 
 
 
中島登さまより


(訳詩集「ジャン・ジュネ詩集」「愛のときと自由のとき」「螺旋階段の虹」「ヘンリー・ミラー銅版画」)

あなたの書物は、私の魂に恐るべき衝撃をあたえます。
それは轟く雷鳴となり深夜の大爆発となって私の夢を食い荒らします。
それ以外に何が語れるでしょうか。
大いなる羽ばたき、世にも稀なる幻影、阿賀さんに乾杯!!
ああ、シャンパンが冷えてない!さようなら。
 
 
 
福井真理子さまより


 
深淵かつ痛快に展開する知性のぶつかりは、すさまじく本質に迫り心から敬意を表します。
CMベースの限られた時間とスペースで表現されがちな世の中、徹頭徹尾「私はこう考える」を交わし合えるぜいたくですね。
 
 
 
文藝評論家・松原新一さまより


 
実に実に刺激的な対談で、あれよあれよ、と言う間に読み終えてました。
伊藤整がこっぴどくやっつけられているところなど、読みながら、私まで落ち着きを失うような、うろたえるような感じになりました。
もっともっと勉強しなくてはいかんな、と自分に言い聞かせております。
 
 
 
田中庸介さまより


 
圧倒的な思想書です!
 
 
 
装丁家・毛利一枝さまより


 
まぁ、なにが出てくる、ドッキリ、面白、地獄鍋!!
どこから喰べてもオモシロイ。
ただし、胃薬を用意すること。
 
 
 
平井弘之さまより


 
『ドラゴンin the Sea』こりゃあ凄い!
めっちゃ面白かったです!!
 
 
 
北川朱実さまより


 
阿賀さんのファンとして、ドキドキしながら(なぜドキドキするのかわかりませんが)ページをくくりました。
中本さん、戸沢さんとの会話が、あちこちへ走り出しながら、きちんと戻ってくる。
その内容のおもしろさ、おもしろさの中の重さをひしひしと感じる一冊です。
特に、左川ちかと伊藤整のところは、繰り返し読みました。
 
 
 
中江俊夫さまより


 
お三方の気性の良さからか、論争は共感するにしろ、首をひねるにしろ、爽快感いっぱいでした。
高三くらいで教科書の副読本にこういうのがあったら授業が面白くて不良にならずのにすんだのに!
何十年も前の昔のことを歯ぎしりする位。
今の奴らこういう本があってトクだね。
笑止の沙汰の昨今、是々非々ともに鵜呑みにするなと、ガンガン言ってくれる、歯に衣着せぬところが好きです。
 
 
 
詩誌ガーネット・高階杞一さまより


 
阿賀猥さんが編んだ対談集。
対談のお相手は詩人の中本道代さんと漫画家の戸沢英士さん。
詩や小説、絵画、宗教、哲学など広範な領域の事柄が、まるでワイドショーの芸能ネタでも話すような調子で語られていて、すこぶるおもしろい。

阿賀 この(ポール)デルヴォーの女性なんか、裸でなんですが、
   まるで中本さんの肖像画じゃないですか。
   グラマラスで美人なのに、どこか普通ではない……。
中本 私はグラマラスじゃないですけど……。
阿賀 じゃあ、中年太りだったんですか。
中本 太ってはいません。

とまあ、こんな調子。
それにしても、このように次々といろんなことにチャレンジするパワーは一体どこから湧いてくるのだろう。
それは彼女の言う上昇志向ならぬ「下方志向」から来ているのかもしれない。
恐るべし、阿賀猥。
 
 
 
水嶋きょうこさまより


 
万華鏡のように幾筋にも話が広がり拡散する海原の大きさに圧倒されました。
(その過剰さに迷子になりそうな時もありましたが……私の力不足です)
詩の言葉には、猥雑に政治も経済も歴史も哲学も宗教も……
(数限りなく地肉として収斂されていくということなのでしょう)
もの凄いパワーを感じます。
中本さんのエッセイ「大菩薩峠」、前に読んだのですが。
私もとてもひかれました。
刺激的な御本をありがとうございました。
 
 
 
吉田多雅子さまより


 
ずいぶんおもしろいものをお創りになりましたね。
阿賀さんのトボけたエネルギーが満ちています。
 
 
 
明治大学・山口仲美さまより


 
私は不思議な阿賀さんの詩や文章から「生きる力」をもらいました。
なぜか理由は分からないけれど……ありがとう!!
 
 
 

 

 
 
 
 

誕生寺

with one comment

明け方4時、毎日4時、戸を叩く音で目を覚ました。
朝まで所在ないので、法然を調べ始めたのが発端。
ドラゴンは3人での対談本。
3人で宗教を喋り出したら収集がつかなくなる。
宗教は親鸞だけ、他は喋らないで行こう……こう3人で取り決めていた。
3人三様、資料は大量に集めたが、見ないままでおこう、と思っていた。
 
明け方4時、目の前にあったのが法然の資料。
ろくに読みもしないままに放り出していた法然、選択集。
所在なくてこれらを読み始めた。
 
常時1時就寝、4時起床。
1か月、小さなコツコツは続いた。
目を凝らして戸口にひっそりと立つその人を盗みみたことがある。
誰なのだろう。見たこともない人であった。

岡山県美作(みまさか)の誕生寺についたときは、みぞれ混じりの雨。
寺で小さなお地蔵様を買った。

お地蔵様

かなりピンぼけ。
お地蔵様が恥ずかしがって写りをボカしてしまったか。

ここは法然の父、漆間時国の屋敷があったところ。
法然はここでうまれた。
法然15歳、都へ出立する我が子に時国は「自分はまもなく殺されるだろう。
菩提をとむらってくれ」と言ったそうである。
言葉通り、まもなく、ここで両親は夜討ちにあい、命を落としている。
 
危険と判っていながらなぜ逃げようとしなかったのか。
殺されても当然として死を甘受したのか。
時国は押領使。所領を守るために、あるいは広げるために、殺されても仕方にない非道のをやってきたのかもしれない。
我が命を守る資格はないと、観念していたのか、
 
ここでまた悪人正機説を思った。
悪人とは誰か?
人それぞれに思いがあるだろうが、法然の場合は、まずは自分自身だろう。
自分こそは悪、父時国の悪の血をひいた悪、この悪をはがす事はできない……
このあたりで、法然は、アメリカロック歌手、マリリン・マンソンへと重なっていく。

ドラゴン下巻では、法然をマンソンと並べたことに反発する方々が多かった。
だが二人は酷似している。
アメリカ兵士として、ベトナム全土に毒薬をまきちらし、多くの人を死に導いたマンソンの父親……
人殺しの悪の血が、僕の全身を巡る、これは取り外せない……こうマンソンは歌う。 
ケバケバしい衣装と奇怪なメークで、世界中で歌い歩くマンソンになどに、似てるなど言われたらさぞや迷惑なさるかもだが、他に自分は悪と騒ぐ人はまず、いない。
ここはやはり二人並べるしかないかと思う。
 
 
ドラゴン in the Sea 上・詳細ページ


ドラゴン in the Sea 下・詳細ページ

治安維持法と『ドラゴン』

without comments

中澤俊輔著『治安維持法』¥860を購入した。
実際の治安維持法自体は1925年の制定だが、同書は1900年の治安警察法からはじまり、1910年の24名の死刑判決を導いた大逆罪、またその後に起こった事件まで、広範囲にスポットをあて、治安維持法として論考したもの。
表紙の帯に「稀代の悪法は民主主義が生み、育てた」と大書してある。
民主主義について、一般的な見解を真っ向から覆しているのに注目した。

三浦瑠麗著『シビリアンの戦争』もタイトルの後に、「デモクラシーが攻撃的になるとき」と副題をつけている。
つい今までは何はともあれ民主主義であったのが、相当に様変わりしている。
民主主義とはいったいなんなのか?治安維持法や軍国主義とは、相対立するものとされてきたのだけれど、そうではない、ひょっとして、同じものではなかったか? とさえ思われてくる。

幸徳秋水イガイガ本シリーズの、『ドラゴンin the SEA』では、直接『治安維持法』に触れた部分はないが、大菩薩峠の作者 中里介山が、幸徳秋水に私淑していたことから、秋水と同じくこの悪法の犠牲となった小林多喜二にまで話題が進み、二人の代表作の表紙を写真入りで紹介している。

『ドラゴン』の場合は青春時代を軍国主義で明け暮れた92歳の対談者、私の母親を話題にしているが、彼女は当時としては珍しいまでの自由な環境にあったせいか、根っからの自由主義者であり、民主主義ニンゲンであった。
だが同時に熱烈な軍国主義者でもあったわけで、2・26事件の首謀者に同情、その処刑を決定した政府に憤り、処刑の日には女学生は全員で集まって大泣きしたことなど、繰り返し聞かされてきた。

小林多喜二当時、民主主義の究極として軍国主義が台頭していたのではなかったか?
当時民主主義とは軍国主義ではなかったのか。
「攻撃的になった民主主義」としての軍国主義ではなかったのか?

一般的な見解とは逆になるが、イガイガ本「ドラゴン」では、昭和天皇側近を勤めた木戸幸一日記を紹介、スペイン思想家オルテガの著作も引用して、この見解をカバーしている。

小説では、林芙美子の『浮雲』。
当時の占領地、南方諸国へ新しい未来を見つけて旅立つ青年群像を活写、当時の熱気が伝えている。
このあたりが軍国日本の実態ではなかろうか?
国をあげて老いも若きも軍国日本に沸き立っていたのだ。
「民主主義イコール軍国主義」では戦後思想は壊れてしまう。
戦後の小説のいくつかが、成り立たなくなるかもしれないが、だが実情はこうではなかったか?

話は中里介山である。彼を駆って大長編『大菩薩峠』を書かせたのは、政府の治安体制への憤りだろう。直接には幸徳秋水以下24名が実刑判決を受け、
うち12名が処刑された大逆事件への怨念である、この大逆事件に幸徳秋水ほか、中里の周辺にいたものの幾人かが連座、命を落としている。1900年の治安警察法、1925年の治安維持法、これら悪法への怨念が、介山の生涯を支配、大著を続行させたかと推測した。

大逆事件は1910年、死刑執行は翌年1911年。
翌々年の1913年には「大菩薩峠」の新聞連載が開始されている。
だがこの大菩薩に関しては連載の前に自身で活字を組んで印刷、小冊子にして、持ち歩いて誰彼に見せている。
中里は当時、すでにいくつか新聞連載も経験していたわけで、大菩薩もまたいずれは、掲載可能なはずを、なぜそこまでして、印刷配布したのか?
秋水を思い、友人たちを思い、じっとしてはいられなかったのではないか?
 
 
ドラゴン in the Sea 上・詳細ページ


ドラゴン in the Sea 下・詳細ページ