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『谷絵 -谷敏行遺稿画集-』刊行

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お待たせしました。

『谷絵 -谷敏行遺稿画集-』刊行いたしました。

『谷絵 ―谷敏行遺稿画集―』表紙

2011年準備開始、5年を経て完成。
書店ほか、アマゾン他、ネット書店で販売中です。
ぜひ、ご購入いただければ幸いです。
 


 

この5年間は、まさに谷底を這い歩く毎日。
歩いても歩いても行き着くことが出来なかった。
 
問題は彼の絵もさることながら、
彼自身を把握出来ずにいた。
 
単純な男、簡単な画集になると踏んで出発。
しかし何度制作しても
谷敏行を掴めた実感が得られず中断、
途方に暮れていた。
 
単純に見えれば見えるほど、
内実は奥へ奥へ隠され、
見ることが出来なかった。

谷絵_複雑顔

これは画集未収録の谷絵。
モデルは誰かわからないが、
茫洋として掴みにくいところ、
おそらくこの辺りが谷敏行の実態ではないか?
 
次はごくごく単純顔。
実際の谷敏行はこれより丸顔、
ぽっちゃり顔だけれど、
日頃の表向きはこのタイプ。
 
叩いてもホコリも何も出てこないような
単純ペラペラ男という気がしていた。

谷絵_半分顔

ところがところが……
作曲も超奇天烈を絵画作成と同じく、
超スピーディ、長編舞台劇の背景音楽も
渋谷駅構内の小さなレストランでチョコチョコっとで完成。
何の支障もなく演奏可能で、
私も万事苦労なしの月日を過ごすことができた。
 
特に舞台俳優。
舞踏家 十亀脩之介と組んでの
「変形蟷螂型恋愛天虫色模様」
若旦那役はまさにハマり役で名演。
 
本人も何よりこれがご機嫌。
いよいよもうダメかとなると、
「しっかり治って、また若旦那役やるんだ」と耳元で叫ぶと、
急にしゃんとなって嬉しそうに頷いていた。
 
享年43歳、何とも残念な若死にである。
多芸多才、スサマジイまでの才能を
満載したままに死出の旅路についてしまった。
 


 
 
彼を支えた、だめ連の皆さま。
自殺防止に彼の家の戸口を
たたき続けた職場の皆さま、ありがとうございました。
 
なんとか生の旅を終えることができました。

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醜悪な精神4「アドルフ、涙の主張」

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SO WHAT 「アドルフの受難」

これは谷敏行の描くヒトラー像
「アドルフ、涙の主張」。
当社新刊、「谷絵」のなかのコラージュ作品。
 
ひたすら正義をこの世にあまねく
広めたいと必死のヒトラー像だが、
それというのも明恵様と同じ、
ただただ我が身は正義のカタマリ、
至純の人と信じこんでるいるゆえだろう。
 
そう信じたいならそれはそれでしょうがないとして、
その御姿となると、このあたりがピタリではないだろうか。
 
 

正義のひとの職務は悪漢退治。
バッタバッタと恐ろしい力で
悪漢を撃破しなければならないのだから、
たとえ自身では自覚しない場合でも
正義の方々はその裏側には
しっかりドカンとすざまじい攻撃力を
貯蔵しておられるはずで、
それ故の正義の主張のはず。
 

あまりに強力が過ぎて、
ついには辟易、逃げだす人々……と
正義感ヒトラーの凋落まで「谷絵」は書き込んでいるのだけれど、
ここまで来ると正義漢の真逆、
「悪人」も、案外な面もあるのではないか。
 
むしろ真逆の「悪」の方が、よかったり……なぞ、
フラチな思いが、ついフラフラと浮上したり……かくていよいよ、
法然の奇怪な論理、「悪人正機説」がお出ましとなるのである。
 
 
 
◆一言芳談

妄念をおこさずして往生せんと思わん人は
生まれつきの目鼻を取り捨てて
念仏申さんと思うがごとし
(一言芳談)

 
法然の発言である。
強欲だの色欲だのの悪心、妄念を捨てて、
極楽往生を目指すというのは、
生まれつき持ってる自分の目や鼻カットして、
仕事に励むようなもの。
肝心なものがないからあまり効果はないんじゃないか?
 
こうつぶやかれたのだ。
奇怪といえば奇怪だけれど、
まことに鮮やか、見事なつぶやきではないか?
 
目や鼻は自分の中心部分。
妄念を法然は、そういうものとして
位置づけていたのである。
 

悪心邪心色欲強欲などなどの妄念、
これらは、人たる者の中心、
だから捨てることなどできない。
捨てた、というなら嘘である、
嘘からなにを生みだそうというのか?
こう疑惑されたのである。
 
今から700年前の東洋日本国に、
現代英国人リチャード・ドーキンスがタイム・ワープか?
恐るべき頭脳を想わざるを得ない。
 

千年万年、私たちは妄念を抱えて、
妄念のおかげで、生きてきた。
敵を攻略し、食い散らし……
かくして妄念遺伝子は脈々と生き続け……
これが生物の生き様である、
千年来、万年来の生き様を今更変えられない。
…………和洋折衷するとこうなる。
 

法然には著作は少ないが、
こいう発言の記録が沢山残されている。
おおむねかなり過激で面白い。
 
当時は仏僧は仏典の棒読みだけ。
その意味を噛み砕いて
解るように喋る僧はいなかったから、
よほど珍しかったのではないか?
 

人々は法然に集い、
その一言一句を書き付けては、
争ってその語録を読んでいたようで、
都大路を荷車引いてるばあさんが、
法然の言葉を書いた書き付けた紙切れを
道に落として右往左往探している記事も残っている。
 
問題は「正義のひと」である。
 
法然流でいうなら、
中心部分をすっぽり欠落させた人、
異様な欠陥人間ということになる。
 

無論、そんなおかしな人はいるはずがない、
お腹の中に、隠しているだけなのだ。
だが当人は気づかない。
 
なぜなら目がない、鼻がない、
……感知する器管をそぎ落として
しまっているから解らないのだ。
 

嘘つきではない、
明恵は、またヒトラーはわからなかったのだ。
 
一言芳談が、「生まれつきの目鼻」とした明察に
まずは、息を飲んでしまった。
感覚器官、
これを取り出したことにつくづくと感服してしまった。
(続く)

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近日刊行『谷絵 -谷敏行遺稿画集-』

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『谷絵』

『谷絵 -谷敏行遺稿画集-』
異能の画家、谷敏行が遺した怪画の数々を収録した遺稿画集、
近日刊行いたします。

『谷絵』2-3

2011年7月に逝去した谷敏行。
彼が生前制作した作品は多岐に及びました。

写真・タバコB

大型絵画、油絵制作、
ロック雑誌『SO WHAT』カバーデザイン、
イラスト、挿絵制作や、
詩誌『JO5』イラスト、漫画制作、音楽作曲で活躍。
その作品群を1冊にまとめました。

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海カエル

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第10回・詩劇『洪水伝説(稽古篇)』ポエーマンスを終えて

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12月14日、支倉隆子 詩劇『洪水伝説(稽古篇)』、ポエーマンスの部にて
阿賀ほか、イガイガボンスタッフは「蟷螂型恋愛色模様」を客演したのだが、
直前になって主役の町娘を演じる十亀脩之介氏の都合がつかなくなり、騒動になってしまった。

八方手をつくしたが、12月は繁忙期、
簡単には踊り手が見つからず、大橋可也ダンサーズの総帥、可也氏の
必死の探索で男女2名のダンサーを確保したのが、公演1週間前。
それから虫役の吉田ゆき子氏などに協力を求め、練習を開始。

流石、可也氏推薦の熟練ダンサー、その腕前に安堵したのはいいが、
衣装一式が届かない。
カツラに刀にと、最善の衣装を取りそろえていたのだが、これまた動転、大騒ぎになった。

衣装一式は、十亀氏が保管していたのだが、発送していなかったのだった。
さらに宅急便側のミスまで絡み、
公演前夜の真夜中になっても荷物の所在が分からないという事態に。
午前2時、千葉は館山のイガイガボンメンバー高梨氏が、
宅配業者の送り状を探し出して所在確認となった。

かくて公演直前になんとかダンサーは衣装一式をキャッチしたわけだが、
朗読者の私は頭が混乱して、朗読ができない……
「落ち着いて落ち着いて、阿賀さん、大丈夫大丈夫……」と
虫役の戸沢タマ氏になだめられ、なんとかやっと歩行と言う有り様であった。

曲は、吉田兄弟の三味線曲3曲の合成。
編曲したのは、今は亡き絵画作家谷敏行。
彼は若旦那役でもあったため、全体を把握、
それはそれは、難しい構成で、これに朗読を合わせるのが至難の技。
生半可な練習では無茶苦茶になってしまうのだ。

実際のところ、朗読は六割方失敗に終わったのだが、舞踏が予想外の出来。
大変な迫力で、下手朗読をカバー、沢山の拍手をいただいた。

娘役は、長身明眸皓歯の若林淳氏。
独特のオーラを発しているとの感想もいただいた。
若旦那役は、川本裕子氏。
猫のように動く柔軟な肉体で、愛に狂って死へと驀進する男を熱演した。
「喜んで死ぬんですね。エクスタシーの表情がいりますね……」
と川本氏、何度も練習を繰り返したのだが、蟷螂型恋愛は、カマキリ方式。
雌がオスを食い殺して愛が成就するのだから、
死を歓喜のエクスタシーの極点として演じなければならない。  

出典は『ドラゴン in the Se』下巻の5章。
これはフロイトの快感原則を背景に『嵐が丘』の作者、
エミリ・ブロンテの禁断の恋を扱ったもの。
挿し絵は、以下。大きなカマキリは、エミリ・ブロンテを現している。
かなり怖い絵である。

ドラゴン5章・カマキリ&カエル
 
恋愛小説の最高峰『嵐が丘』の作者される
エミリ・ブロンテは人里離れた荒野の牧師館の娘。
一切の恋愛経験どころか周辺に男の陰さえなかった女性。
それがなぜ「愛」を書けたのか?

謎中の謎とされてきたのだが、
『ドラゴン in the Sea』では、恋人を兄、ブランウェル・ブロンテと特定。
恋の現場を周辺の荒野として、新説を展開している。
根拠は、エミリとアンの共作、生涯を通して書き進められた長い長い長編小説『ゴンダル』。
エミリーの死後、姉シャーロット・ブロンテは、大半を焼却している(なぜ焼却?)ので、
その残りでしかないのだが、この小説が大量のエミリ詩編を満載、
この一々を新たに読み直して、エミリの灼熱の恋を浮上させたのだ。

その大半を謎の詩編としての何世紀もの解釈を『ドラゴン in the Sea』はバッサリと捨て、
全てはエミリーの実体験からの詩編として、明確に解釈しなおした。

彼女は自身の恋のくまぐまを記録したかったのだ。
記録して自身で再読反芻、そういう形での恋を生きたのだ。

恋人ブランウェルは、恋多き男、私生児までなしているとの噂さえある。
もう戻っては来ない。かっての恋は忘れ果てている……

エミリの怒りと絶望は『ゴンダル』の女王A.G.A.の残酷な実子殺しとなって結実、
はたまた恋人を投獄し、死へと追いやる……という筋立てで、復讐を果たしていく。

そして恋人の残酷な獄死、まさにその時になって初めて愛に熱狂する女王A.G.A.……
彼女たちは蟷螂型恋愛を生きたのだ。
彼女たち?
そうエミリ自身もまた、自身の物語、ゴンダルを踏襲してしまうのだ。

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中也の神と花札物語

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谷敏行の絵というとなぜか、中原中也を思う人が多い。
谷敏行自体は中原中也なんて知らないだろう。
マンガとロックだけ。
けれど、どういうわけか、
谷敏行の絵を見て中原中也を思ってしまう。
若くして死んだこと、不幸のあまりに死んだこと、
双方おしゃれさんであったこと、
そして作品の明るさ、あっけらかんとした明るさ……。
このあたりは似ている、と言えば似ているのだが。
 
以下はドラゴン6章に新たに追加したいとして
戸沢英土が送ってきた中原中也の歌。
 
中原中也(中学)

人みなを殺してみたき我が心
その心我にわれに神を示せり

 
中也15歳、中学生のとき
嘆異抄にある親鸞発言に耽溺しての和歌。
 

戸沢英土は、これは現代にも続けて通ずるとして、こう書いてきている。
 

誰でも何かをたたき殺す勢いで生きているのだと思う。
人間だけではない、殺処分が凄すぎて、
今は山里にすら野良犬などいない。
人間性を剥奪しなければ社会的には生きられない……
いや、そんな生優しいもんじゃない。
まさに処分という形で、
環境をクリーンアップしていく流儀が現代でしょう。
誰でもが加害者。汚染まみれの食料を押しつけあう……

 
平和で綺麗な社会……
でもその実体はこうだと、と戸沢英土は見ている。
谷君の絵画世界もその背景にはこの中也の世界がある、
うわべの綺麗でクリーンで平和な世界を剥いだ世界で展開している……
戸沢英土の見方ではこうなるのだろう。
嘆異抄は、親鸞の言葉を弟子の唯円が書き残したもの。
中也の和歌はその中の親鸞の言葉
 

「人を千人殺してんや……」

 
に触発されて書かれている。
人を千人殺して見ろ、
そうしたらお前は成仏するだろう……と
唯円が師匠親鸞に、はなしを持ちかけられている場面だ。
嘆異抄の中でも有名なくだり、
まことに物騒な場面とはいえ、中也のような解釈は見たことがない。
おそらくは間違った解釈とされるのだろうが、
私はこの解釈が一番、親鸞の心を表しているように思った。
 
谷敏行の月
中也の和歌の下半分
「その心われに神を示せり」が、
はじめのうちは、分からなかった。
だが、谷絵画をみて、この「神」が、
谷絵画集「花札物語」の神だと気がついた。
大きな口を開けている怖い顔のお月様、
これが彼ら、中也そして親鸞の神だと。
 

親鸞の天空にあったのもこの神様。
蓑傘1つで全国津々浦々を放浪、
惨苦の民衆を救おうと苦しみ転げ回った親鸞。
彼の言葉はどれも尋常ではない。
尋常でない神様に喘いだ親鸞、中也、そして谷敏行を思った。
 

戸沢
「だからせめて自らの創造物だけは美しくあれ、と
文化を飛び越して妄想で世界を作ってしまう。
平和で穏やかで……
でもそれは嘘世界、白々しい嘘世界……」

 
大半の人は皆、その世界を真実と見るのかもしれない。
それを自然としてそこにいやされるのかもしれない。
だが、どうしてもそうは見ない人がいる。
たわけたい嘘世界としか見ない人がいる。
沈んだと思ったらまたまた現れてまたもや私たちを襲う。
1個、2個ではない、3個も4個もつぎつぎと現れて、
更なる不幸をもたらし、私たちを追い込んでいく、
そういう神としての月。
そういう月が
大きな口を開けて
大笑いしながら
空を圧するばかりの大きさで輝いている。
 

5月、深夜、
かぐわしい柑橘類の花々の芳香の向こうに細くたたずむ月。
誰もが、その姿にあざむかれてしまう。
誰もが本来の月を知らない。
恐ろしい神としての月。
皆を優しく暖かく包み込む神様ではなく、
隙あらば、殺処分と躍り掛かってくる神様、
千人万人を一どきに殺して笑う神様、
そういう神様が、夜の向こうに、こうこうと輝いている。
貴女には見えないかもしれない、
だが、わたしの上にも
また、貴方の上にも、等しく
あの恐ろしい神々が、
空を圧するばかりの大きさで、輝いている。
 
 
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