分類:詩集+朗読CD
著者:奥村真 福島泰樹
出版:(株)iga
販売:(株)星雲社
発行:2011年8月17日
判型:A5 77P CD5曲
ISBN978-4-434-15938-1
C0023 ¥1700E
定価1,700円+税
晩年は俳優としても活躍した、
奥村真の生涯を辿りながら、
2つの詩集としてまとめたCDブック。
短歌絶叫コンサートなど、
現代の傑出したボーカリストの一人である
福島泰樹が、ピアノを伴奏に自在に朗読する。
奥村の愛した北海道の景色も満載。
(撮影・中村公機)
詩集2作品とも、外見はぬらりひょん、
ひょうひょうたる風情だが、詩作の底には、
激動を生きた人物だけが持つ重厚と剛直が貫流、
堂々たる大河となって、読むものに充足感を与える。
尾世川正明さまより
奥村さんは、私と一年違い、同時代の匂いを強く感じます。
「ぬらり神」は独自な言葉ですぐれた詩集だと思います。
福島さんの朗読は、はじめて耳にしますが、叫びはさすがに絶品で肉声の力、恐ろしさを感じます。
藤田晴央さまより
奥村さんとはほとんど付き合いらしいものはありませんでした。
ただ、1978年頃、清水昶さんと三人で井の頭公園でボートに乗ったとを記憶しています。
あまり話は弾まず、僕とはそれきりになってしまった、そんなふうな印象です。
ただそれだけの「袖の触れ合い」なのですが、亡くなられたということをこの本で知り、いささか波立つものを感じています。
福島泰樹さんの朗読、心にしみました。
僕は誤解というほど知らなかったのですが、やはりぼんやりと「誤解」していたのだと思います。
恥ずかしながら、奥村さんの詩の良さを、阿賀さんが編まれたこの本で初めて知りました。
「分別の盛り場」が好きです。対談も興味深く読みました。
平井弘之さまより
奥村真はあちらでほうぼう行って、さぞ自慢していることでしょう。
水嶋きょうこさまより
福島さんの朗読、驚きました。
雄大な厳しい自然、生と死が流転する神話的な世界、アイヌの言葉が呪文のように空間を広げ、すごい迫力でした。
ピアノの伴奏もあって美しかったです。
言葉、音楽が雪のようにどんどん降りつもっていきました。
神尾和寿さまより
いつのまにか元気のない時代に元気のない(?)私。
主体性の活力がよみがえって来ました。
「身柄請書」や「割愛」がとくに好きです。
P.S
大阪に向かう電車で読んでいたら、降りる駅をまちがえてしまいました。
何となく納得。
詩誌ガーネット・高階杞一さまよりさまより
本書は三年前に亡くなった奥村真の追悼集。
阿賀猥さんが中心になって編んでいる。
奥村真という詩人については、もちろん名前は知っているし、詩集も頂いて読んだことがあるような気がするが、ほとんど印象に残っていない。
阿賀さん言うところのフニャフニャでグニャグニャな詩風が、当時はよく理解できなかったのかもしれない。
本書の座談や追悼文を読んでいると、かなり特異な人であったらしく、また、酒場で騒いでいる人に注意したところ、逆ギレされ殴り殺されたという死に様も、残された身近な人たちに強烈な印象を残しているのだろう。
本書には福島泰樹さんによる朗読CDも収められている。
この朗読を聞いていると、目で読むよりもずっと奥村真の思いが伝わってくる。
総員の眼玉は拡がっている
総員つつがなく妄想で着ぶくれし
総員ことごとく腹筋を鍛え
嫌煙権を主張し
(慶応四年、江戸はトウケイと改まり)
『はい』、という素直な心たちがいっせいに
『すいません』という反省の心たちがいっせいに
『おかげさま』という謙譲の心たちがいっせいに
『させていただく』という奉仕の心たちがいっせいに
『ありがとう』という感謝の心たちがいっせいに
蜂の巣穴を通声し
日照権を主張し
黒い、鳩を、ひなたへと飛ばしている
「小菅の『なか』」より
詩集 神の庭 もくじ 7
- 小菅の『なか』
- 新都庁から徒歩七分
- 身柄請書
- バリアリーフ
- 水 ワッカ
- オホーツクの紙屑
- 猟場(イウォル)
- 神の庭(カムイ・ミムタル)
- 分別の盛り場
神の庭
- 福島泰樹と曼荼羅
- 中村公機 略歴
- 奥村真 年譜
- 抜粋「失業者の高貴」 根石吉久
- 抜粋「猫々だより66」 奥村真
詩集 ぬらり もくじ 49
- かまいたち
- 『ア・ト・デ・ネ』『あ、そ』
- パラダイス
- わたしの生涯
- 割愛
- 奥村さんのぬらりひょん 雨宮慶子
- ぬらり神は行く
- 阿佐ヶ谷プチ奇・・・紀行 戸沢英土
- 奥村真と阿佐ヶ谷 阿賀猥
朗読 福島泰樹
伴奏 永畑雅人
- 小菅の『なか』
- 新都庁から徒歩七分
- 身柄請書
- 神の庭
- 分別の盛り場
水 ワッカ
オホーツクの紙屑
猟場(イウォル)
神の庭(カムイ・ミムタル)
奥村真
早稲田大学中退後、様々な仕事を転々としながら「かまいたち」「分別の盛り場」など、異色の詩集を残した。
そこはかとないユーモアの中に日常の苦さと悲哀を潜ませた長編詩は圧巻で他の追随を許さない。
晩年は詩作の傍ら、映画の名脇役としても活躍し、「カムイ外伝」「東京タワー」などに出演した。
福島泰樹
歌人。
中原中也、村山塊多、寺山修司などの詩を朗読、絶叫歌人の異名を持つ。
数多い奥村詩篇の中から峻烈な原始の世界を描いたものを抽出、「神の庭」と題して朗読する。
今回の福島泰樹は永畑雅人のピアノ伴奏と共に情熱を内に秘めた朗読になっている。

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