分類:対談本
著者:阿賀猥 中本道代 戸沢英土
出版:(株)iga
販売:(株)星雲社
発行:2011年8月17日
判型:B5 149P
ISBN978-4-434-15939-8
C0020 ¥2000E
定価2,000円+税
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『ドラゴン in the Sea 上』 阿賀猥×中本道代×戸沢英土著
女性と蛇を巡る対談集の上巻。
海を支配するドラゴン、古代豊玉姫から
現代市場経済の底に横たわる竜の論理まで議論は白熱、
世界の裏に潜むもう一つの歴史を浮上させる。
と梅原猛をうならせた傑作対談本。
各対談者は、教科書や参考書には登場しない資料を紹介、
また高名な著作ながら無視されてきた部分に注目、
手に汗握る過激な論戦も加わって飽きさせない。
ドラゴン in the Sea イメージ動画「海カエル」
1章 女とドラゴン
- いるのは女だけ?世界を制するか? ソレルス『女たち』
→海を歩くポール・デルヴォー絵画と女性詩篇 - 愛の海、死の海マルグリッド・デュラス『愛人』の海
→左川ちか&ヴェイユ、独身者の海 - 三島由紀夫とマンスフィールド『豊饒の海』とマンスフィールドの極小世界
→弘前高校生の変心
→虚無の海、恐怖の海 - 海も亦なきなり聖書の海
→蛇とグノーシス
→『最後の晩餐』のマリアとパウロ
→キリストは自由の闘士? - ダ・ヴィンチ・コード蛇と金運
→校章と蛇
→ユングの龍退治の絵
→財宝としての無意識 - 劣等機能の女性的性質理性への疑惑、パスとヤーン
→劣等絵画と劣等文学
→バロウズとトンプソン
→劣等機能は優等か? - 中国の蛇、日本のドラゴン姫理性抑制の残雪『黄泥街』
→阿含経のムチャリンダ竜王
→女ドラゴン、豊玉姫 - 確固たる異界「私」の中の爬虫類
→幻覚との対話
→左川ちか詩篇、立ち上がる幻覚
2章 黒い天使
- 海の天使左川ちかと伊藤整
→宮沢賢治の「悪念」
→賢治と井上陽水
→バタイユ『文学と悪』 - 黒い天使、白い天使隣組子供会と南京事件
→ヤーンの天使とリルケの天使
→武者小路実篤、「詩千八百」 - バタイユと『嵐が丘』バタイユの誤読
→エミリの近親相姦愛と実子殺し
→中本道代詩篇と工藤静香「嵐の素顔」 - 美形の園のソクラテスソクラテスとヒトラー
→映画「ロード・オブ・ザ・リング」と日本兵
→フーコーとギベール - ユダヤの豚の絵マルチン・ルターとユダヤ人
→ドイツ映画「バクダッド・カフェ」の掃除好き - お尻の思考システム柿本昭人『アウシュヴィッツの回教徒』
→オルテガ、お尻の思考世界 VS ヒトラーの清潔帝国 - 悪と女性詩篇バタイユ、悪徳は深い真実
→悪徳の女性詩篇
→谷崎と嵯峨信之を結ぶ「悪」
→偽善比べと文学 - 憎悪の本能善人顔のヒムラーとエノラ・ゲイ飛行士
→アリス・ミラー『魂の殺人』
→少女たちの憎悪
3章 大菩薩峠
- 死の本能フロイト「快感原則」と大菩薩峠
→トーランドが暴く真珠湾攻撃
→戦争とケインズ理論 - 卑しきときは自ら実なり山片蟠桃と市場原理
→大菩薩峠と町人哲学
→伊藤仁斎の目線
→三井高房の賄賂のすすめ - 悪心の哲学、国富論誤訳された『国富論』
→道徳社会の起源としての私利私欲
→スミスの奇怪な道徳哲学 - 「思想」と植民地支配砲弾とキリスト教
→植民地支配 VS 日本哲学
→悪徳詩篇マウンドビルの「蜂の巣ブンブン…」 - ねこぢる『ねこぢる』と大菩薩峠
→攻撃本能とフロイト快感原則
→横尾忠則絵画『生き方上手』 - 内奥の海利潤動機の裏の裏
→バタイユの普遍経済学『呪われた部分』
→内奥の海を生きる机竜之助 - キリストとヒトラーキリストの愛、ヒトラーの愛
→髯好きキリスト嫌いのD・H・ロレンス - 苦悩の枯渇エリオットの苦悩?
→D・H・ロレンスの神とユングの塔
→ヒトラーの新しい愛の政治
阿賀猥
宮崎県出身。
詩集
『猥について』
『アガシ1988』(以上 紫陽社)
『ラッキー・ミーハー』
『揺るがぬヘソ曲がりの心』
『山桜』
『ナルココ姫』(以上 思潮社)
『真実のお多福豆』(文芸社)
『転生炸裂馬鹿地獄、割れて砕けて裂けて散るかも』(七月堂)
評論集
『不まじめな神々』(詩学社)
朗読CD
『猫又猫七そして猫姫』(七月堂)
朗読者としては、第一回・詩のボクシングにゲストで登場、ねじめ正一と対戦し、観客を湧かせた。
主にロック演奏家と共演してきたが、2004年、舞踏家十亀脩之助との朗読舞踏で「津軽じょんがら節」をBGMに採用、以後、津軽三味線との共演を試みている。
中本道代
ミステリアスな詩集で知られるが、格調の高いエッセイでも定評があり、東京新聞など、多方面に散文を寄稿している。
作品は、一見穏当だが、仏典や哲学への造詣に裏付けされた重厚さを合わせもつ。
著作
『春分 vernal equinox』
『黄道と蛹』
『花と死王』(丸山豊記念現代詩賞受賞)など。(以上 思潮社)
戸沢英土
漫画家。本稿では挿絵も担当する。
早大中退。
さまざまな努力を水の泡にする習癖がある。
漫画作成のほか、絵画、詩篇、エッセイも作成する。
ロックが背後に持つ思想について造詣が深い。
著作
詩集『壁を破る』(私家版)
斉藤健一さまより
ニーチェは断言。
あなたの心の底にしっかりと存在する否定と肯定の渦巻き。
いづれもおもしろいです。
近年における痛快な一冊でした。
中島登さまより
(訳詩集「ジャン・ジュネ詩集」「愛のときと自由のとき」「螺旋階段の虹」「ヘンリー・ミラー銅版画」)
あなたの書物は、私の魂に恐るべき衝撃をあたえます。
それは轟く雷鳴となり深夜の大爆発となって私の夢を食い荒らします。
それ以外に何が語れるでしょうか。
大いなる羽ばたき、世にも稀なる幻影、阿賀さんに乾杯!!
ああ、シャンパンが冷えてない!さようなら。
福井真理子さまより
深淵かつ痛快に展開する知性のぶつかりは、すさまじく本質に迫り心から敬意を表します。
CMベースの限られた時間とスペースで表現されがちな世の中、徹頭徹尾「私はこう考える」を交わし合えるぜいたくですね。
文藝評論家・松原新一さまより
実に実に刺激的な対談で、あれよあれよ、と言う間に読み終えてました。
伊藤整がこっぴどくやっつけられているところなど、読みながら、私まで落ち着きを失うような、うろたえるような感じになりました。
もっともっと勉強しなくてはいかんな、と自分に言い聞かせております。
田中庸介さまより
圧倒的な思想書です!
装丁家・毛利一枝さまより
まぁ、なにが出てくる、ドッキリ、面白、地獄鍋!!
どこから喰べてもオモシロイ。
ただし、胃薬を用意すること。
平井弘之さまより
『ドラゴンin the Sea』こりゃあ凄い!
めっちゃ面白かったです!!
北川朱実さまより
阿賀さんのファンとして、ドキドキしながら(なぜドキドキするのかわかりませんが)ページをくくりました。
中本さん、戸沢さんとの会話が、あちこちへ走り出しながら、きちんと戻ってくる。
その内容のおもしろさ、おもしろさの中の重さをひしひしと感じる一冊です。
特に、左川ちかと伊藤整のところは、繰り返し読みました。
中江俊夫さまより
お三方の気性の良さからか、論争は共感するにしろ、首をひねるにしろ、爽快感いっぱいでした。
高三くらいで教科書の副読本にこういうのがあったら授業が面白くて不良にならずのにすんだのに!
何十年も前の昔のことを歯ぎしりする位。
今の奴らこういう本があってトクだね。
笑止の沙汰の昨今、是々非々ともに鵜呑みにするなと、ガンガン言ってくれる、歯に衣着せぬところが好きです。
詩誌ガーネット・高階杞一さまより
阿賀猥さんが編んだ対談集。
対談のお相手は詩人の中本道代さんと漫画家の戸沢英士さん。
詩や小説、絵画、宗教、哲学など広範な領域の事柄が、まるでワイドショーの芸能ネタでも話すような調子で語られていて、すこぶるおもしろい。
まるで中本さんの肖像画じゃないですか。
グラマラスで美人なのに、どこか普通ではない……。
中本 私はグラマラスじゃないですけど……。
阿賀 じゃあ、中年太りだったんですか。
中本 太ってはいません。
とまあ、こんな調子。
それにしても、このように次々といろんなことにチャレンジするパワーは一体どこから湧いてくるのだろう。
それは彼女の言う上昇志向ならぬ「下方志向」から来ているのかもしれない。
恐るべし、阿賀猥。
水嶋きょうこさまより
万華鏡のように幾筋にも話が広がり拡散する海原の大きさに圧倒されました。
(その過剰さに迷子になりそうな時もありましたが……私の力不足です)
詩の言葉には、猥雑に政治も経済も歴史も哲学も宗教も……
(数限りなく地肉として収斂されていくということなのでしょう)
もの凄いパワーを感じます。
中本さんのエッセイ「大菩薩峠」、前に読んだのですが。
私もとてもひかれました。
刺激的な御本をありがとうございました。
吉田多雅子さまより
ずいぶんおもしろいものをお創りになりましたね。
阿賀さんのトボけたエネルギーが満ちています。
明治大学・山口仲美さまより
私は不思議な阿賀さんの詩や文章から「生きる力」をもらいました。
なぜか理由は分からないけれど……ありがとう!!
「ドラゴン in the Sea 上」への13件のフィードバック