出版:(株)iga
販売:(株)星雲社
発行:2012年10月
判型:B5 200P
ISBN978-4-434-17081-2
C0020 ¥1400E
定価1,400円+税
かの梅原猛を「ニーチェを思わせる」と
感服させた対談本の下巻が遂に完成。
東西2500年にわたる学術書、奇書、教典に底流する
「詩」を拾い出し、現代を追跡する。
竜樹の『中論』アダム・スミス『国富論』が依拠した
マウンドビルの『蜂の巣ブンブン…』法然の日本哲学。
ロレンス『黙示録論』……それぞれの時代を牽引する
数々の『詩』の隙間を蛇行して進む奇書の群れ。
『サテューリコン』『一万一千本の鞭』『大菩薩峠』……
これらが歴史の暗部を穿ち、世界の謎を解いていく。
性愛の詩人が背後に抱え持つ世界を探り、
奇書、名著の原典を豊富に引用、
文明の暗部と脆弱をえぐり出す。
4章 越境 10
- 集合無意識と風梅田智江『変容記』と中本道代『ミルキー・メイ』の太陽の筒
→ユング『元型論」
→フリーダ・ロレンス『私ではなくて風が…』 - 異次元世界ユング『続・元型論』
→太古の浮遊生物か?竜之介、お銀さま
→宮澤賢治「大菩薩峠の歌」 - 近接する異次元「私」はゴカイ?蟻?カエル?
→古代人の自己認識
→ケレーニイ『神話学入門』が説く曼荼羅 - 童児神ユング『続・元型論』
→フィンランドの叙事詩『カレワラ』
→「惑星ソラリス」
→プラトン「想起説」 - 女王さまユングとナチス
→集団自我
→天使的人物か?ナチス収容所所長ルドルフ・ヘス - ロレンスVS天使D・H・ロレンスの『黙示録論』
→エドモン・ジャペス『問いの書』
→ロレンスのユダヤ嫌いとケツァルコアトル - 新型の愛レンブラント「イサクの犠牲」とアリス・ミラー、幼児虐待
- 棘皮動物棘皮動物∨Sフーコー『自己のテクノロジー』
→フロイトが言う依存関係
→ロレンス『翼ある蛇』の闘牛場面
→ユダヤの燔祭とホロコースト
→小羊はどこに行くのか? - ヒゲとヒトラーヒトラーのヒゲ、プルーストのヒゲ
→ヒトラーの清楚で美しい母クララ
→ヒトラー「みんなにお婿さんを見つけてあげますよ」
5章 右足左足 50
- 更ニ更ニ卑シキトキハ……タブツキ『ベアト・アンジェリコの翼あるもの』
→ロレンス『カンガルー』、下半身の自己
→フロイト「個人は自己の遺伝質の附属物であるにすぎず……」 - 『ふたりの真面目な女性』ジェインの神とヘンリー・ミラーの神
→ポール・ボウルズ「シェルタリング・スカイ」 - メフィストフェレスの敵ファウストの善悪・マルガレーテ昇天VS破壊と火の新約聖書、黙示録
- 右足左足二人の女性の待ちの姿勢
→サテュリコンの二人旅
→アポリネール『一万一千本の鞭』が開く現代絵画の起点 - 根こそぎの二人ミスター・チルドレン
→エミリ・ブロンテ21歳、根こそぎ散文とアポリネールのハチャメチャ詩篇 - 『嵐が丘』のカマキリ愛エミリの愛の方式
→根こそぎ風カマキリ愛
→十亀脩之介・朗読舞踏「変形型恋愛天虫色模様」 - ゴンダル詩篇共同体と旅人
→キャプテン・クックとタブー
→エミリと兄ブランウェル - 豺狼と神々豺狼としての神
→エミリとハンス・ヘニー・ヤーンの恐ろしい神
→エミリのニセ苦悶 - 酸っぱいブドウ『アマデウス・シンドローム』
→エミリ・ブロンテの報われない愛 - そして右足左足龍の声に従うペトロニウスの足、アポリネールの足、ジェインの足……
6章 ドラゴン悪 88
- 気味の悪い「愛」へニー・ヤーンの愛の一瞬
→映画「戦場のメリー・クリスマス」の愛 - 女性性悪説と仏教の盲点インド民話『パンチャタントラ』
→『マヌの法典』
→リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』
→法然『選択集』
→町田宗鳳の法然解釈 - ドラゴン悪田中於菟弥『インド・色好みの構造』
→古代インド―女性たちの命がけの悪
→機械文明とポール・デルヴォー - 善人天国村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
→漫画『パタリロ』
→セシュエー『分裂病の少女の手記』
→デヴィッド・ボウイの機械人間「ダイヤモンド・ドッグス」
→原子爆弾リトル・ボーイ - トカゲの欠落、春樹の欠落T・S・エリオット「うつろなる人々」
→欠落?削除?
→木村ユウ、僕はもうテレビは見ない
→春樹、洗練されたずるさ - 男旅人エミリ・ブロンテの兄、ブランウェルの詩
→共同体から締め出されたフーテンの寅 - 女旅人山本周五郎『虚空遍歴』
→アナイス・ニンの大ヒット、ポルノ小説
→鹿島茂『オール・アバウト・セックス』
→AⅤ男優が語るA∨女優(『アダルトビデオジェネレーション』) - WC TO WC そしてボウイ世界をめぐり繋ぐWC、中本道代「現象Ⅱ、阿賀猥「河の起源」
→旅人ボウイ「STATION TO STATION」の広域世界
→鴨長明 - 法然、親鸞 VS 明恵、清浄心明恵『摧邪輪』VS法然『選択集』
→親鸞『教行信証』
→『餓鬼草紙』 - 『地獄草紙』と経済問題明恵「あかあかや…」
→法然「一枚起請文」、「和語燈録」
7章 輝きのイチゴ大福 142
- ニンフに化けたドラゴンデルヴォー「水浴するニンフ」
→平和の裏側、平和の塔 - マリリン・マンソンと「いじめ」不気味なメークのマンソンとその素顔
→法然とマンソン - アメリカの小説ぐっと低級に、ヘンリー・ミラー
→ハンター・S・トンプソン - 親鸞の海、エミリの海親鸞「和讃」、ドラゴンが守る警備万全の海
→浄化するエミリの便利な海 - 永久に生きたい二人親鸞・還相回向
→エミリ詩篇、「不滅の生命たるわたしは……」 - 龍樹、幻覚の不滅ノヴァーリス『花粉』
→龍樹の長編詩『中論』
→創聖のアクエリオン - 龍樹と宇宙物理学ガモフ『不思議宇宙のトムキンス』
→山内得立の名著『ロゴスとレンマ』
→レンマと鰻
→龍の論理、「幻覚原論」
→エミリの岩と「君が代」の岩
→竹内薫の「モノ」と「コト」 - 自足するイチゴ大福左川ちか「死の髯」
→異次元と日常
→映画「羊たちの沈黙」
→映画「ラスト・エンペラー」
→映画「天使の涙」
→オタクと孤絶
→孤絶の幸福 - 『大日本帝国の子どもたち』教科書の中の子供たち∨Sアンリ・ルソーの子どもたち
- 『嵐が丘』といじめ問題作者は兄ブランウェル?
→エミリが隠した愛の詩篇 - ドラゴン方式いじめ解決策としてのドラゴン方式
→別の感性としての幸徳秋水、小林多喜二
→マリリン・マンソンと奥村真
→民主主義といじめ
おわりに
阿賀猥
宮崎県出身。
詩集
『猥について』
『アガシ1988』(以上 紫陽社)
『ラッキー・ミーハー』
『揺るがぬヘソ曲がりの心』
『山桜』
『ナルココ姫』(以上 思潮社)
『真実のお多福豆』(文芸社)
『転生炸裂馬鹿地獄、割れて砕けて裂けて散るかも』(七月堂)
評論集
『不まじめな神々』(詩学社)
朗読CD
『猫又猫七そして猫姫』(七月堂)
朗読者としては、第一回・詩のボクシングにゲストで登場、ねじめ正一と対戦し、観客を湧かせた。
主にロック演奏家と共演してきたが、2004年、舞踏家十亀脩之助との朗読舞踏で「津軽じょんがら節」をBGMに採用、以後、津軽三味線との共演を試みている。
中本道代
ミステリアスな詩集で知られるが、格調の高いエッセイでも定評があり、東京新聞など、多方面に散文を寄稿している。
作品は、一見穏当だが、仏典や哲学への造詣に裏付けされた重厚さを合わせもつ。
著作
『春分 vernal equinox』
『黄道と蛹』
『花と死王』(丸山豊記念現代詩賞受賞)など。(以上 思潮社)
戸沢英土
漫画家。本稿では挿絵も担当する。
早大中退。
さまざまな努力を水の泡にする習癖がある。
漫画作成のほか、絵画、詩篇、エッセイも作成する。
ロックが背後に持つ思想について造詣が深い。
著作
詩集『壁を破る』(私家版)
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